母のかき揚げ

夕方、突然の仕事の依頼。ファックスで原稿を送ってもらって、校正です。すると、台所からコトコト音が。いってみると、母が冷蔵庫の前にいます。「今日は何にしようか」と。
小エビがあるので「かき揚げにしよう」というと、うんうんと頷いて、でも立ち去ろうとしません。さては、やる気になってるな。母はかき揚げの名人です。と言っても特別なことはしません。
普通の小麦粉で普通の水加減なのに、サクサクと揚がります。私は、いつもベトベトのしかできません。だから「かき揚げなら私よ」と、思ったのでしょう。
でも私にも策があります。いい小麦粉を見つけたのです。オーマイ「こんな小麦粉欲しかった」、これ商品名。ほんとに、欲しかった小麦粉です、どんなにド下手な私でも、一応サクサク感がありますから。
私がエビを剥いて、母は玉ねぎを刻んで、ニンジンもピーマンも入れて。狭い台所ですから、二人並ぶとぎゅうぎゅうですが、それは親子。互いの動きを察知して、立ち回ります。小鯵も三枚に下して天ぷらに。
下準備ができて母が材料と小麦粉を合せながら、何度も首をひねります。「なんだか加減が違う」と言うのです。あ、私が勝手に小麦粉を変えたことに気づいたかな。袋を見てます。母の使うメーカーと違う。
でも、何も言わずに材料をまとめて油に投入。じーっと見つめて「よくわからない」。何が、「揚がり具合が」。小麦粉一つで、こんなにも普段の感覚と違うのですね。考えたこともなかった。
でも、揚がりはサクサク。エビと玉ねぎの甘味、ピーマンのほろ苦さがマッチして、ザ・かき揚げ。腕がいいのか、小麦粉がいいのか。腕、という事にしましょう。
「さすが、お母さん、美味しい」。褒めまくって、またやってもらおう。モデル体重になるには